孤独死予備軍ひきこもり日記

ひきこもりが、日々の雑感を綴ります。

映画「孤狼の血」

普段は、最近の日本映画を見ないが、偶然再放送で孤狼の血を見た。「仁義なき戦い」や「県警対組織暴力」といった一連の深作欣二監督の作品をオマージュしたものであろう。しかし鑑賞に堪えうる質の高い作品に達していない。ただ大声で広島弁をを叫び、不必要な暴力シーンが、満載で、あまりにも安っぽい。70年代の東映映画には、独自の美学が、あった。演じる役者、スタッフ、シナリオライター、それぞれの思いが、結実しスクリーンから伝わってきた。東映の大部屋の役者さんたちの熱演。川谷拓三、岩尾正隆、そして先日亡くなられた福本清三さんといった個性的な面々。映画監督も、型破りなタイプの人が、大半で、映画に人生を賭けているという気概を持っていた。時には映画の方向性ですれ違いスター俳優と衝突することもあり、会社の上層部は、冷や冷やしていたのではないだろうか。そういった背景の下で制作された映画に迫力が、ないわけはない。撮影所システムが崩壊し、活動屋魂を持った映画人がいなくなったように思える。狼狼の血に関しては、役所広司さんを生かしきれなかったのが残念である。役所広司さんは、色気のある俳優さんで現代の日本映画には欠かせない。アウトローのやくざには不似合いのように感じられる。江口洋介松坂桃李といった俳優は、この種の映画で存在感を放つだけの基礎的な演技力が、不足している。また、快優嶋田久作の出演場面があまりにも少なすぎる。東映で本格的な仁侠映画を制作することが、出来ない時代は寂しい。斬新な映画を志向するプロデューサーが、現れることを望むばかりである。