孤独死予備軍ひきこもり日記

ひきこもりが、日々の雑感を綴ります。

アドラー心理学

野田俊作氏が亡くられた。アドラー心理学の第一人者であり、著作も多いが一般的には、知られていない方である。ネット上で補正項というサイトでユニークな持論を公開されていた。生前に面識のあった知り合いによると、非常に頭の良い人で、資料を見ずに講演されることもあったらしい。アドラー心理学には、違和感を抱いてしまう。過去にとらわれず自らのライフスタイルをいかに構築していくかに主眼を置く理念は、確かに素晴らしい。しかし、心の病気は、様々な原因が絡みあって発症するものであり、その人の生育歴、現在の環境などを多面的に考慮にしていくべきである。また、アドラーの共同体感覚という概念も受け入れ難い。引きこもりなど社会に適応できないという理由で一刀両断されてしまうだろう。どうしてアドラー心理学が人気があるのだろうか。フロイトユングラカンなどよりも分かりやす学説で、即実践可能なものであること。また、自己啓発的な部分が、現代の風潮と相性が良いことなどが、考えられる。確かにフロイトユングラカンは、難解な思想を好むマニアにしか通用しない。特にラカンは、フランス思想の知識がなければ理解することは不可能である。その点、アドラーの残した言葉は、大衆受けしやすい。ただ、注意しなければならないことは、曲解さてしまいがちなことである。生きる意味を問うといった高邁な思想が、安易なポジティブシンキングにすり替えられていしまっている。アドラーは、もっと深い意味で、自らの力で人生を形づけるべきと言いたかったのではないだろうか。