孤独死予備軍ひきこもり日記

ひきこもりが、日々の雑感を綴ります。

松田優作

松田優作が、亡くなって30年余りが過ぎた。30回忌の時にもっと話題になるのかと思っていたが、追悼番組はおろか主演番組の再放送すらしなかった。生前を知るテレビ局関係者にとって、煩わしい存在で、もう忘れたい人なのではないだろうか。スタッフには、暴力を振う、マスコミ取材も本人を怒らしはしないか神経をすり減らす。こういった行為は、映画への熱い思いに裏打ちされたものであることを忘れてはならない。「野獣死すべし」では、頬がこけたように見せるため歯を4本も抜いたエピソードはあまりにも有名である。まるで求道者のように役柄と向き合った。村川透監督の遊戯シリーズでは、アクションスターを極め、「探偵物語」では、コミカルな中に哀愁を感じさせる役者へと変貌を遂げた。「探偵物語」などテレビドラマの水準をはるかに上回る名作である。映画のスタッフが制作していたことも関係するが、松田優作の魅力が、一番発揮された作品であろう。個人的には、工藤栄一監督と組んだ「横浜BJブルース」が、一番好きな映画だ。この映画一部のマニアには、人気があるが、評論家は、あまり話題にすらしなかった。工藤栄一監督の美学は、一般受けし難い面がある。デテイールにこだわり過ぎるため、全体的に分かりにくい。ワンカットになんとも言えない情念のようなものが、宿ることがある。全力投球で作品に臨む職人気質のため松田優作とお互い惹かれ合ったというのは、納得できる。松田優作のような俳優が、生まれる土壌が、今の日本の映画界にはないのが、惜しむべきことである。