孤独死予備軍ひきこもり日記

ひきこもりが、日々の雑感を綴ります。

池波正太郎の映像作品

毎日のように「鬼平犯科帳」や「剣客商売」が、再放送されている。私の親など夢中にになって見ている。池波正太郎の原作と大いに乖離している感じが否めない。生前池波正太郎氏も、映像化する際には、厳しく注文を付けられたらしい。シナリオを厳しくチェックし、少しでもお気に召されない部分があれば書き直しを命じるほどで、スタッフは、相当神経を使ったと思う。松竹京都映画と池波作品は根本的ににカラーが違う。松竹京都映画は、必殺のイメージが鮮烈で、何を撮影しても、必殺的な絵作りになってしまいがちである。個人的に必殺ファンクラブ虎の会に入会していた私としては、松竹京都映画が作る作品には人一倍愛着がある。石原興カメラマンの撮影テクニックは、まさに神業に近い。役者の演技を見つめるその目は、凡百のカメラマンと一線を画する。「京都殺人案内」の映像の美しさは、テレビドラマの枠をはるかに超えている。池波作品は、もっと静謐さの中に美を求めるものである。大沢の池や大覚寺では、江戸情緒を醸し出すには、限界があるのではないだろうか。一番原作に近いのは、小林桂樹と田村高広が、演じた「仕掛人藤枝梅安」だと思う。地味な雰囲気が、殺し屋であるリアリティに相応しい。東宝が、制作したので変にクセが無く、極めて原作に忠実に作らている。小林桂樹の脂ぎることなく、淡々と殺しにかかる演技は、もっと評価されるべきではないだろうか。映像作品ばかり見るのではなく、原作をもっと若い人によんでもらいたい。池波正太郎作品の魅力は、一言で言い尽くせないが、やさしさに溢れている。自らの豊富な人生経験と氏の人生観によるものだから、頭で書いたくだらない小説など足下にも及ばない。