孤独死予備軍ひきこもり日記

ひきこもりが、日々の雑感を綴ります。

名張毒ぶどう酒事件

名張毒ぶどう酒事件で、名古屋高検が、名古屋高裁に意見書を提出していたことが分かった。弁護団は、昨年、証拠の再鑑定と意見書を高裁に提出していて、これへの反論と考えられる。名張毒ぶどう酒事件は、昭和36年に発生し、第七次再審請求中に、奥西勝死刑囚が、獄死した。現在は、奥西勝死刑囚の妹が、第十次再審請求を名古屋高裁に求めている。60年もの歳月を費したにもかかわらず、事件がいまだに解決していないことに、日本の司法の病巣を見てしまう。この事件の争点は、自白である。奥西勝の自白が、虚偽かそれとも真実なのか。自白通りに、ニッカリンTを準備して、犯行に及ぶことができたのか。この自白の信用性を判断するのは、非常に難しい。浜田寿三男氏の「名張毒ぶどう酒事件自白の罠を解く」岩波書店では、自白は真犯人のものではなく、警察官との合作によって作成されたと断言している。浜田寿三男氏は、自白研究の第一人者で、数々の冤罪事件に関わってこられた心理学者である。心理学的な見地から、自白の嘘を見抜いてこられた氏の、緻密な理論は、今後の冤罪事件において、重要な役割を果たすだろう。しかし、この「名張毒ぶどう酒事件」において、自白は、完全な虚偽とは思えない。私の不勉強かもしれないが。奥西被告は、妻チエ子と愛人木田ゆきの三角関係が、村の噂になっていた。そんな折に毒ぶどう酒をこの2人の女性が、飲んで死んだという事実は、ただの偶然なのか。ニッカリンTを混入する、時間が、供述調書で、変遷している。これをもって、無実の者が、犯行に関与していないから、虚偽の自白と言い切ることはできない。2006年の再審開始決定を取り消したのは、門野博裁判官である。門野氏は、公平、中立な立場から判決を下すことで有名な裁判官にもかかわらず、どうして再審を認めなかったのだろうか。刑事裁判における事実認定の難しさを体現しているのが、この「名張毒ぶどう酒事件」のように思えてならない。