孤独死予備軍ひきこもり日記

ひきこもりが、日々の雑感を綴ります。

天才・木谷明元裁判官

刑事裁判官たちを描いた「イチケイのカラス」が、フジテレビで放送し始めた。原作の漫画のモデルは、元東京高裁部総括判事の木谷明氏である。現職中には、30件の無罪判決を下し、一件も検察から上訴されていないという実績を持つ。有罪率99、9%という我が国の刑事司法にあって、氏のような裁判官は、不世出な存在である。司法官僚統制に支配された、ヒラメ裁判官が、大半で、無罪判決を書くことは、相当の圧力に屈しなければならない。何故ならば、警察、検察側の主張を疑うことなく、事実認定し、有罪判決を書いていれば、出世が、保証されるからだ。自己保身のために、被告人を見捨てるような、裁判官の意識が、改善されない限り冤罪は、根絶しないだろう。木谷明氏は、囲碁棋士木谷實を父に持つ。育った環境は、「無罪を見抜く裁判官の生き方、木谷明」岩波書店。あるいは、「刑事裁判の心」法律文化社で詳細に触れらている。氏が、判決文を書く上で、その環境の影響を大きく受けた。次のように発言されておられる。「第一審の裁判官としては、死んだ石は、誰が見ても死んでいると分かるようにしておく必要がありまして、場合によっては、死んだ石を盤の上から取り去ってあげハマにし、自分の棋笥の蓋の中に入れてしまうことも必要になると思うのです。」と。職人芸としか思えない。このように緻密な計算に基づいて真摯に、職務を遂行している裁判官は、少ないのではないだろうか。迅速に処理する能力が、求められ、個々の事件にそれだけの情熱を傾けることは、不可能に近い。木谷明氏は、警察捜査の在り方にも異議を申している。いざとなれば、警察組織は、物的証拠を捏造することもあると。その典型的なケースは、氏が浦和地裁で、担当した覚醒剤自己使用事件だろう。被告人の尿が第三者の尿とすり替えられた疑いがあり、無罪判決を下された。こういった薬物事案で、警察が、使う常套手段であり、極めて悪質である。また、取り調べにおいて、被告人が、「警察官から自白を強要されたという」、水掛け論になった時。裁判所は、被告にの言い分を聞き入れるべきと主張されている。刑事司法を志す者のみならず、木谷明氏の生き方には、学ぶべき所が、非常に多い。