孤独死予備軍ひきこもり日記

ひきこもりが、日々の雑感を綴ります。

犯罪を犯した、ピエール瀧が出演していた映画の助成金について

ピエール瀧が、麻薬取締法違反で、有罪判決を受けたことを理由に、出演予定だった映画への助成金交付を取り消したのは、違法として、映画会社が、不交付決定を取り消しを求めた訴訟の判決が下された。東京地裁は、「原告は、出演者の犯罪行為とは、無関係」「意に沿わない再撮影しなければ、芸術団体の自主性が損なわれることになりかねない」として、助成金の取り消しを違法とした。当然の判決である。ピエール瀧が、逮捕された時、自粛ムードが広がった。彼が出演している、テレビ番組や映画をどうするか、メディアは非常に神経質になり過ぎたように思える。殺人を犯したなら、話はまったく変わってくるだろう。しかし、薬物を使用したぐらいで、映画をお蔵入りにしようかと迷うのは、制作陣に、信念のようなものがない証である。今回の裁判になったのは、「宮本君から君へ」という漫画が原作の映画で、池松壮亮蒼井優井浦新佐藤二朗といった実力派俳優が出演している。ただ、「日本芸術文化振興会」という文部省所管の団体から、助成金で映画を制作する姿勢は、はなはだ疑問だ。映画を制作するには、莫大な資金が必要になってくる。日本映画の歴史を振り返ってみると、必ずしも、大手映画会社が、潤沢な資金で、制作した映画が、珠玉の作品として残っていないからだ。逆に、低予算で、出演者も、無名に近い俳優であっても、作り手に映画に賭ける情熱が功を奏している作品が少なからず存在する。国の助成金で映画を作る事は、体制に従順になる可能性が高く、映画の本質から大きく逸脱するように思えてならない。Ⅴシネマというジャンルがある。劇場公開ではなく、ⅤHSのビデオで鑑賞するために作られたので、映画評論家たちからは、無視された。しかし、中には、一般の映画よりはるかに質の高い作品が、一部のマニアから熱狂的に支持されている。このⅤシネマは、初期の頃は東映が中心であったが、怪しげな会社も参入した。もしかしたら暴力団フロント企業ではないかと懸念されるぐらい。しかし、そうした会社であるからこそ、常識にとらわれない、自由な発想で、映画を撮ることが出来たのではないだろうか。「万引き家族」は、「公権力とは潔く距離を保つと」言いながら助成金をもらって制作されたことが、物議になった。「万引き家族」は挑発的なテーマを扱っている割には、余りにも予定調和で、お上品な映画でくだらない。日本映画界に、アナーキーで反社会的な作品を作る底力がないように思えてならない。