孤独死予備軍ひきこもり日記

ひきこもりが、日々の雑感を綴ります。

統合失調症という病気についての、精神科医と患者の認識のずれ

統合失調症」という病気は、非常に難しい病気だと思う。色々な本を調べたら、妄想や幻覚が生じる、陽性症状。意欲や、気持ちが落ち込む、陰性あるいは、破瓜状態と呼ぶもの。その他、統合失調症型パーソナリティーなどと定義づけられている。かつては、「不治の病い」と恐れられ、一生、病院に隔離されなけらばならない病気だった。しかし、近年、薬物の進歩によって、寛解するようになった。こういったことは、表面的に、精神科医が啓蒙している部分があるように思えてならない。昔であれば、人里離れた精神病院しかなかったが、街にメンタルクリニックが乱立し始めた。街のメンタルクリニックを受診すると、待合室で会う患者さんたちは、ごく普通の人たちである。中島らもさんのエッセイに出てくる、明らかに市民社会の位相からかけ離れた人を見かけた経験はない。「うつ病パニック障害などで、悩んでおられるのかなぁ」と思う。明らかな、妄想や幻覚に支配されて、奇異な振舞いをする、統合失調症患者は、確実に減ったが、気分が落ち込み、以前のように活発になれない、破瓜型の統合失調症患者は依然として存在するのではないだろうか。DSMという診断基準と精神科医の勘によって、破瓜型の統合失調症と誤診されるとういう新たな問題が生じている。統合失調症の薬を、投与することは、非常にリスクを伴う。本来であれば、まったく、統合失調症に該当しないのに、精神科医の勝手な判断によって、薬物投与され、副作用に悩まされるといったケースが生じている。ひきこもりなどその犠牲者にされやすいことは、以前から指摘されてきたが、現状は変わっていないように思えてならない。ひきこもりの意欲の減退などといったものは、病気とは、明らかに違う。人生のある時期において、重たい壁にぶつかって、身動きできない状態にある。精神科医は、その人の生育歴および現在の心理状況など入念に聞こうとしない。関わるのが、煩わしいだけのことである。とりあえず、統合失調症の疑いがあるという治療方針を立てた方が、楽であるから、誤診が生じるのである。大学の神経精神医学教室で、研究されているのは、主に統合失調症の薬物投与が、脳にどのような作用をもたらすという生物医学的なテーマである。そういった研究も必要かもしれないが、「人のこころ」の痛みが分かる精神科医を育成する方が先決ではないだろうか。