孤独死予備軍ひきこもり日記

ひきこもりが、日々の雑感を綴ります。

謎多き鶴見事件 高橋和利死刑囚亡くなる お金は盗ったが、殺していない?

法務省は、8日横浜鶴見区で1988年に夫婦を殺害して、現金を奪ったとして、強盗殺人に問われ死刑が確定していた、高橋和利死刑囚が、誤嚥性肺炎のため88歳で東京拘置所で死亡したことを発表した。この、高橋和利死刑囚の死亡のニュースは、冤罪の可能性があるにも関わらず、まったく話題になっていない。33年間も、無実を訴えてきたこと死刑囚とその支援団の声が、世間に届かないのが、非常に無念である。事件は、1988年6月横浜市鶴見区で金融業者が殺害され、高橋和利さんが逮捕された。高橋和利さんは、電気工事業を営んでいたが、資金繰りに困っていた。殺された、金融業者と知り合い、その日は融資の話をするつもりで、訪れたところ、金融業者は殺害されていた。出来心で、1200万円が入ったビニール袋を奪い去ってしまう。しかし、殺害については、否定する。鶴見事件については、弁護人が書いた、「無実でも死刑 真犯人はどこに 鶴見事件の真相」大河内秀明著、現代企画室という本が詳細に言及している。客観的に見て、「お金だけを奪って、殺人行為を遂行していないはずはない」と先入観を持ってしまいがちである。しかし、本書は論理的に、高橋和利さんが、無実であることを証明している。驚くべきは、本の中で、真犯人であると思われる人物を指摘していることだ。1995年に死刑判決、2002年10月に、東京高裁は控訴を棄却する。そして、2006年に死刑が確定される。しかし、2017年に横浜地裁に2度目の再審請求をして、現在も、裁判は係争中であった。高橋和利さんは、温厚な人柄で親しまれていた。妻の京子さんは、「あまり自分のためにお金を使わない人だった」と言う。夫婦の間で、子供はいなかったが、事情があって、引き取った京子さんの甥をまるで、我が子のようにかわいがっていたそうである。そんな、性格の高橋和利さんが、人を殺すことが果たして出来るだろうか。京子さん自身も、高橋和利さんが、逮捕された日から、共犯者として、朝から晩まで、警察からは激しい取り調べを受け、「お前のことはずっと見ているからな」と言われたことが、今も忘れないでいる。警察は、最初から、高橋和利さん犯人説を取り、激しい取り調べで、自白に追い込んでいく。自白による、凶器と殺害手順が、被害者の刺切傷と食い違うことを、弁護側は主張するが、裁判所は全く聞く耳を持たず、自白と状況証拠のみで、死刑判決を下す。鶴見事件は、黒か白か、極めて判断し難い。それゆえに、裁判官は、慎重に事実認定しなければならないのに、警察の言い分のみを認めたといっても過言ではない。「疑わしきは、被告人の利益に」という刑事裁判の鉄則を運用するべきであった。事件発生から33年経過しても、再審で無罪を勝ち取ることができない、日本の刑事司法の後進性を痛感させられる。