孤独死予備軍ひきこもり日記

ひきこもりが、日々の雑感を綴ります。

ドキュメンタリー映画「獄友」人生の大半を刑務所で過ごした人たち 警察に蹂躙されても生きていく

ドキュメンタリー映画「獄友」は、近年稀に見ない衝撃作品である。まず設定が凄い。冤罪によって、人生のほどんどを刑務所で過ごした人たちの生き方に密着取材したものだが、見る者に何か問いかけてくる。監督は、「SАYАMАみえない手錠をはずすまで」「袴田巌夢の間も世の中」などを撮った、金聖雄監督。布川事件の、桜井昌司さん、杉山卓男さんは、それぞれ27年。足利事件の菅谷利和さんは、17年6ヵ月。狭山事件の、石川一雄さんは、31年7ヵ月。袴田事件袴田巌さんは、48年。冤罪を告発するといっスタイルを取らず、それぞれの冤罪被害者の生活を追っていく。理不尽な仕打ちを受けたにもかかわらず、どこか達観して、事件と対峙してきた、人間の真実の姿がそこにはある。それぞれの事件については、知らない人が大半で、それが、普通である。しかし、「冤罪」というものは、決して私たちの日常生活と無縁なものではない。警察の取り調べにおいて、戦後わずかの時代のように、激しい拷問は皆無になったと、専門家たちは、指摘するが、果たしてそうだろうか。表沙汰にならないだけで、警察官による、人権を無視した取り調べは、日常茶飯事に行われている。2016年に、取り調べの録音・録画が、裁判員裁判を対象とする事件と検察官が指揮する事件に限定され、義務づけられた。ほとんどの事件は、いまだ密室の中で取り調べが行われている状況だ。今後も大きな冤罪が作られる可能性が極めて高い。どんな小さい刑事事件であっても、取り調べにおいては、弁護士が、立ち合うべきだと思う。よく、刑務所に入ってきたことを勲章とする、暴力団員がいるが、彼らには到底敵わない。20年、30年、刑務所で過ごす、それも、「自分は、犯罪を犯していないのに」、「警察にでっちあげられ」、自由を奪われる。彼らの絶望や悲しみは、想像を絶するものだ。2021年の8月に、桜井昌司さんは、国家賠償請求で勝訴した。昭和42年に発生し、無罪判決を得て、今日に至るまで、44年間も人生を裁判に翻弄された。現在、桜井昌司さんは、末期がんでありながら、本を出版したり、冤罪の理不尽さを各地で訴えている。劇中で、「自分は、刑務所に入って良かったなと思っている」言うシーンは、忘れ難い。「冤罪」という警察権力に人生を蹂躙されても、生きようとする、それぞれの人生は、胸に迫るとともに、勇気づけられる。