孤独死予備軍ひきこもり日記

ひきこもりが、日々の雑感を綴ります。

NHKのETV「空蝉の家」 ゴミ屋敷で亡くなった56歳ひきこもりの慟哭

NHKが横須賀市で、両親の死後、ゴミ屋敷で、孤独死した、ある中高年のひきこもりと家族を取材した、ドキュメンタリー「空蝉の家」が、土曜日に放送された。以前から、この当事者を取材し、断片的に放送され、話題になっていた。今回は、平凡な家族が、どのようにして崩壊していったかを描いて、ひきこもり問題に一石を投じるように感じられた。ただ、編集によって、すべての事実が出されたわけでなく、見る者によって、考え方は異なってくるだろう。当事者の名前は、牧岡伸一さん56歳。大学受験に失敗して、就職するが、うまくいかず、家にひきこもるようになる。苦労して、子供たちを育てた父親は、働かない伸一さんにいらだち、親子関係が悪化する。こうしたことは、多かれ少なかれ、ひきこもり家族にあり得るだろう。母親は、次第に精神を病み、妄想や幻覚に支配されてしまう。牧岡伸一さんは、母親の看病をするほど、やさしい性格であるが、働こうとしない。英語が好きで、英語を生かす仕事をしたかったという思いが強く、どんな仕事でも良いとはいかなかったのだろう。両親が死んで、10年間、牧岡伸一さんは、ひとりでゴミ屋敷に住み続ける。近隣の住民からの苦情で、市役所の人間が、牧岡伸一さんの家を訪ねるようになる。そして、市役所の職員が、訪ねた10日後に、牧岡伸一さんは、栄養失調が原因で、56歳で亡くなってしまう。衝撃的なのは、牧岡伸一さんと市役所の職員の会話である。市役所の職員は、「このままだと、死んでしまうから、入院するか」と言う。しかし、牧岡伸一さんは、「病院は、自分で探し、何とかやり直すから、時間をください」と断固として、支援を拒否する。私は、この牧岡伸一さんの最後の言葉に、ひきこもり問題の本質が、集約していると思う。牧岡伸一さんの人生を不幸であるとか他人が決めつけることはできない。やせ細って、誰が見ても、社会復帰は不可能であっても、牧岡伸一さんは、最後まで支援を拒否し、生き続けた。「空蝉の家」の難点を挙げれば枚挙に暇がない。私が唯一挙げるとすれば、生前は疎遠になっていた弟の証言をもとに構成されている点だ。私にも弟がいるが、仲が良くない。もし、私が、「ゴミ屋敷」で餓死しても、弟に私の人生を語ってもらいたくない。NHKは、どのテレビ局より、ひきこもり問題を取り上げている。今後、どのような番組作りをするか目を離せない。