孤独死予備軍ひきこもり日記

ひきこもりが、日々の雑感を綴ります。

余命宣告を受けた障害のある男が命を賭けて撮ったセックス映画「愛について語るときにイケダの語ること」

「愛について語るときにイケダの語ること」という映画がある。際どい内容なため、あまり一般的に知られていないが、障害者と性の問題を考えるうえで、何らかの示唆を与えてくれると思う。主役であり監督は、四股軟骨無形症という障害を持った、池田英彦。四軟骨無形症というのは、分かりにくい病名であるが、所謂、小人症のことである。池田英彦さんは、身長が、112㎝しかない。しかし、それ以外は、見た目も普通で、相模原市役所に勤めていた。39歳の誕生日目に、スキル性胃がんステージ4と診断される。死を意識した、池田英彦さんは、自分と女性のセックスをカメラにおさめる、ハメ撮りに走っていく。映画の知識がない、池田英彦さんは、テレビドラマ「相棒」の脚本家の真野勝成さんと映像作家の佐々木誠さんに協力を求める。池田英彦さんは、障害の程度は軽いが、やはり日常生活で、偏見や差別を受けていた。そうした経験と余命宣告を受けて、どうしても、「自分自身の性」について社会に問いかけたかったのではないだろうか。「ハメ撮り」ということに対して、「何と下品な」と公序良俗を重んじる人たちは、激しく批判したり、生理的に受け付けないだろう。しかし、個人の性を考える時に、綺麗ごとだけで済むものだろうか。特に、「障害者の性」についての語られ方は、欺瞞に満ちたものが多い。以前、河合香織という作家が、「セックスボランティア」という本を書いて、ベストセラーになった。読んでみたが、根底には、明らかに障害者の性を取り上げることが、話題づくりになるだろうという打算があった。障害者の性をあけっぴろげに語ることも、また欺瞞になり得るし、非常に難しい問題である。池田英彦さんのように、障害を持った当事者が、真摯に「自分の性」を語り始めることは、意義のあることではないだろうか。協力した映像作家の佐々木誠さんは、池田英彦について次のように評している、「池田さんは、すべてをきれいごとで済まそうとする社会や世間にケンカを売っている」と。全くその通りで、障害者のみならず、健常者の恋愛や性の問題について、私たちは、まだまだ、きれいごとで済ましているのではないだろうか。