孤独死予備軍ひきこもり日記

ひきこもりが、日々の雑感を綴ります。

元やくざで画家の山本集 高校時代は張本勲と同級生 壮絶な人生を送った男

山本集という男が亡くなって、10年が過ぎた。おそらく大半の人は、知らないだろう。しかし、90年代に深夜のテレビ番組に出演したり、あるいは、Ⅴシネマ「浪商のヤマモトじゃ」のモデルとして有名で、熱狂的なファンがいる。山本集は、高校野球の名門である浪華商業高校野球部に入部する。同級生には、後に日本ハムに入る張本勲がいる。高校卒業後は、寿司屋などをしていたが、頼まれて、奈良の智辯学園高校野球部の監督に就任するが、暴力的指導が問題視されて、辞めさせられる。その後、諏訪一家系淡路組の盃を受けて、本格的な暴力団員となる。この諏訪一家は、反山口組の組織である。山本集は、真向から山口組を争うなど、怖いもの知らずなやくざとして一躍有名になる。しかし、やくざ社会に嫌気がさして、画家になる。深夜のテレビ番組で、初めて山本集を見た時の衝撃は忘れられない。とにかく、人間的な魅力と情熱が全身からみなぎっているように感じられたことだ。やくざだけにあって、顔は非常に怖い。しかし、その外見とは裏腹に繊細で優しさを持った人間であることは一目瞭然であった。高校時代の親友である張本勲は、故郷の広島を離れて、浪華商業高校野球部に入部する。そして、山本集と出会うことになる。山本集は、張本勲の実力を認めていて、野球では絶対勝てないと思い、張本勲に尊敬の念を抱き始める。張本勲が、プロ入りする時に、上京する駅のホームに張本勲と以前トラブルになっていた男が因縁をつけにくると、山本集は土下座までして、張本勲を守ろうとする。2人の関係は、どこか友情を超えて、ホムソーシャルな関係を思わせるぐるらい、熱い絆で結ばれているように思えてならない。そうした激しさと優しさは、現代のやくざ渡世になじまないものとなったに違いない。任侠道などは、所詮絵空事であり、汚い人間の欲が渦巻く世界である。山本集は、富士山を描く。上手下手の次元を超えて、山本集の富士山には、魂があり見る者を圧倒させる。今の時代に、不器用で、誠実で、やんちゃな山本集のような本当の男はもう出てこないのではないだろうか。