孤独死予備軍ひきこもり日記

ひきこもりが、日々の雑感を綴ります。

高倉健も一目置いた 名優大滝秀治 「顔も声も悪いから役者を辞めろと言われても続けた」その役者魂は狂気すら感じさせる

今年で大滝秀治さんが亡くなって10年目になる。大滝秀治さんは、映画で高倉健との共演が多く、高倉健も尊敬したいたぐらいの名優であった。しかし、その役者人生は平凡なものではなく、不遇の時期も長く、数多くの辛苦を経験した末に世に知られるようになった。劇団民芸に入るが、端役しかあてがわれない。ある時、舞台に立っていると、演出家の三好十郎という大物から、「あいつを舞台から引きづり降ろせ」などの暴言を吐かれた。また、「大滝よ、お前は、顔も声も悪いから、役者を辞める決心をしろ」ととんでもない冷酷なことを言われたこともあったそうだ。確かに、大滝秀治さんは、顔も声も良くない。若い時は、同世代の俳優たちと比較すると、見劣りすることは明らかであったろう。しかし、大滝秀治さんは、諦めないで、努力をし続ける。台本を読む際には、役柄にどのようにすれば成りきれるか、腐心する。大滝秀治さんは、台本の字面を読むのではなく、自分の体にその与えられた役を浸み込ませるところまで追求していく。周囲の人たちは、「大滝秀治さんの頭から、湯気が立ってる」と言われるほどに、役柄に没頭していく。大滝秀治さんの名前を世間に知らしめたのは、テレビドラマ「特捜最前線」である。たたき上げの老刑事で、人間味のある船村一平を大滝秀治さんは、見事に演じ切って、当たり役となる。大滝秀治さんと言えば、「特捜最前線の船村一平刑事」というぐらい、大滝秀治さんと船村一平刑事は同一化していた。嫌な思いをしても、耐えて役者を続けてきた大滝秀治さんの苦労が報われた。しかし、この時すでに50歳を過ぎていた。役者として生活できる人間は、ほんの一握りである。大半の役者が無名のまま、終わってしまう。そんな厳しい芸能界にあって、大滝秀治さんのように、「顔も声も悪いから、役者を辞めろ」と言われた人間が、生涯にわたって名優であり続けたことは、非常に稀有なことではないだろうか。最近の芸能界を見ていると、演技力もないくせに、思い違いをしている、ジャニーズタレントがあまりにも多すぎる。大滝秀治さんの生き方は、役者の道だけでなく、私たちの人生にも何か大切なことを示唆してくれる。