孤独死予備軍ひきこもり日記

ひきこもりが、日々の雑感を綴ります。

「子供を殺してください」の著者 押川剛 精神障害者移送サービス 本人の主体性を剥奪して説得させて精神病院に入院させる どこか強引ではないだろうか?

NNNドキュメント「つなぐ男 孤立と向き合う 説得屋」という番組を深夜に見た。押川剛という人物が、精神に問題を抱えた人と向き合い様を描いた内容なのだが、見終わって複雑な感情に駆られた。このドキュメントを見て、押川剛が取り組んでいることを無条件に礼賛する人が出てくるのではないかという懸念だ。押川剛は、精神障害者移送サービスという変わった事業を展開している。トキワ精神保健事務所の代表でもある。精神病院に入院する必要がある人たちを説得させて、入院させるという仕事に25年以上取り組んでいる。大学を卒業して、警備会社を起業した。その会社の従業員が、心の病気になった。家族と近所の人数人がかりで、ロープを持って病院に連れていかれたことを聞き、自責の念に駆られた。しかし、その従業員の精神状態が良くなり、普通の会話ができるようになり、「説得」を仕事にできると確信して、今の仕事を始めたという。2002年には、家族以外の他者と人間関係を構築することを理念とした、自立支援組織「本気塾」を設立した。押川剛を一躍有名にさせたのは、「子供を殺してください」という本が売れたことだ。この本は、家庭内暴力や問題行動を取る子供に悩ませれている多くの親御さんたちの共感を呼んだのだろう。家庭内暴力をふるう子供は、親に自分の苦しみを分かってもらいたいという感情と表裏一体だと思う。また、子供をそこまで追いつめた原因を無視して、一方的に子供だけを断罪して良いものだろうか。「子供を殺してください」という挑発的なタイトルに押川剛のあざとさがあるように感じてならない。番組の中で最も印象に残ったのは、50歳代後半の中年の男性。親が資産家で、若い時は放蕩三昧。しかし、薬物依存になり、お金がなくなると、親に無心して、断られると暴言を吐くという荒んだ状態。押川剛は、説得させて、この男を精神病院に入院させるのだが、最後は死んでしまう。葬式で、年老いた母親が、「正直、この時期に死んでくれたことにほっとしています」とつぶやく。私は、この場面を見て、押川剛が主張していることが正しいという前提に、この番組が作られていると思った。確かに、機能不全家族では、親と子が分かりあえない。しかし、支援者が最初から家族の和解を無視して、「説得」という美辞麗句で介入して良いものだろうか。どうも、押川剛の支援には、一方的なものを感じてならない。