孤独死予備軍ひきこもり日記

ひきこもりが、日々の雑感を綴ります。

映画「万引き家族」「公権力とは潔く距離を保つ」と豪語しながら 毒にも薬にもならぬ内容 アナーキーな映画を撮れる監督が不在

映画「万引き家族」の再放送を見た。この作品色んな意味でも話題になったが、一言で言えば、「説教くさい映画」であるということだ。現代の日本の最底辺で暮らしている人たちを描こうとする、是枝裕和監督の意図は明らかに失敗している。作品全体に、アナーキーな所がないのである。刺激的で挑発的な要素を映画の中に取り入れているが、上手くフィットせずに、ただ記号的にそれらの要素をちりばめたに過ぎない。「万引き家族」は、第71回カンヌ国際映画賞で、パルム・ドール賞を受賞した作品である。フランスのフィガロ紙が、「安倍首相が、珍しく祝福のコメントをしていない」と報道した。その後、林文部科学相が、是枝裕和監督を文部科学省に招いて、祝意を伝える考えを示したが、是枝裕和監督は、自身のホームページに「公権力とは、潔く距離を保つ」と辞退の理由を説明した。「万引き家族」が、国の助成金で制作されていることから是枝裕和監督の発言に対して批判する声が上がった。批判されて当然だと思う。「公権力とは、潔く距離を保つ」というなら、国の助成金など一文貰ってはいけないだろう。そして何よりも、反権力というスタンスを取りながら、映画の内容があまりにも予定調和的で、既視感があることだ。リリー・フランキーという人は、もともと俳優ではない。漫画家なのに、ここまでの演技ができるのは大したことである。しかしどこかくさい芝居をする所があって、わざとらしさを感じてならない。是枝裕和監督の最新作は、「ベビー・ブローカー」である。すでに、第75回カンヌ国際映画賞の「コンペティション部門」に出品して「最優秀男優賞」、「エキュメニカル審査員賞」の2冠に輝いている。赤ちゃんポストという現代的な問題をテーマにした作品というのも、是枝裕和監督らしい。カンヌ国際映画賞といったブランドが好きなのだろう。はっきり言って、国際的な賞を取った作品に碌な映画はない。北野武今村昌平しかり。ウエルドメイドでありながら、情念が炸裂する映画を撮る監督が不在なのが今の日本映画界の現状ではないだろうか。