孤独死予備軍ひきこもり日記

ひきこもりが、日々の雑感を綴ります。

「あたいはやっちょらん」95歳の原口アヤ子さんの想い届かず 大崎事件第4次再審請棄却 鴨志田祐美弁護士の主張を斥ける刑事司法の病弊

大崎事件の第4次再審請求が、鹿児島地方裁判所によって棄却された。大崎事件は、1979年10月15日に鹿児島県大崎町で農業を営む男性が、牛小屋の中から死体で見つかた事件である。男性は、親族の結婚式がある日に酔っぱらって、自転車ごと落差1mの溝に落ちた。この被害者の男性は、日頃、問題行動を起こして、親族の間で厄介な存在であった。警察は、そうしたことから、保険金目当ての殺人という筋書きを描き、捜査を進めていく。そして、被害者の兄と、兄の妻である原口アヤ子さん、親族2人の男性、計4人を逮捕する。共犯者として逮捕された3人が、原口アヤ子さんが被害者を殺害する現場を目撃したという自白をする。一方、原口アヤ子さんは、一貫して、無罪を訴えた。そもそも、この共犯者の自白の信用性に疑いがある。何故なら、3人全員が知的障害を抱えていて、警察の取り調べにおいて、誘導された可能性が極めて大きいからだ。最近、無罪になった、滋賀湖東記念病院の西山美香さん。西山美香さんも、軽い知的障害があり、取り調べに当たった警察官の事が好きになり、虚偽の自白をしてしまう。これまでのわが国の冤罪事件を振り返っても、知的な問題を抱えた人間が、警察の詐術に陥って、「やってもいない犯罪」を自白させられてきたというケースは枚挙に暇がない。原口アヤ子さんは、有罪判決を受けて、満期出所した後に再審請求をした。その原口あや子さんの再審請求を一貫して支え続けてきたのは、弁護士の鴨志田祐美さんである。鴨志田祐美弁護士ほど、エネルギッシュで、正義感が強い弁護士はいないのではないだろうか。鴨志田祐美弁護士は、40歳で司法試験に合格した変わり種である。その司法修習生時代に「大崎事件の再審請求」と出会い、以後尽力を尽くしてきた。歯に衣着せぬ物言いで、再審請求を棄却した裁判官の名前を実名で批判するなど、過激な行動を取る。しかし、何とか原口アヤ子さんの雪冤を果たしたい責任感からくるものである。1975年に「白鳥決定」が下されて、財田川事件、免田事件と次々に再審無罪判決が下された。新しく提出された証拠だけではなく、他の全証拠と判断して、確定判決に合理的な疑いを生じさせればたり得る。「疑わしきは、被告人の利益にという」という刑事裁判の鉄則は、再審にも適用される。現代の日本の刑事司法において、「白鳥決定」の教訓が全く生かされていない。有罪率99,9%と呼ばれる状況では、やっていない犯罪を警察の取り調べで、自白を強要されて、真犯人にでっちあげられている冤罪事件が、かなりの数存在する。そうした人たちを救済する最後の砦である、再審制度が改善されないと、日本の刑事司法は、死に絶えたも同然である。