孤独死予備軍ひきこもり日記

ひきこもりが、日々の雑感を綴ります。

ちむどんどんの原田美枝子が大胆不敵に演じた 異色のやくざ映画「その後の仁義なき戦い」 70年代の若者の青春を見事に描き切った名作

昭和54年に公開された「その後の仁義なき戦い」という作品がある。これは、大ヒットした「仁義なき戦い」の最終作であると同時に、映画評論家からことごとく酷評された作品でもある。しかし、私は、「その後の仁義なき戦い」は大傑作であると思う。工藤栄一監督の才気が遺憾なく発揮されている。しかし、工藤栄一監督の作品というのは、一般受けしない、マニア受けするものばかりで、日本映画界において不遇な扱いを受けたことは間違いないだろう。映像の魔術師と呼ばれるほどに、光と影のコントラストに固執し、非常に美しい映像を作り上げる。また、アクションシーンは、「リアルさ」を求め、殺陣師がいるのに、監督自ら、役者に「アクション指導」をすることで有名である。「その後の仁義なき戦い」は、根津甚八、宇崎竜童、松崎しげる、そして花を添える原田美枝子それぞれの青春活劇となっている。そのためか、「仁義なき戦い」に酔いしれたファンからは、不評を買うことになった。21歳の原田美枝子の大胆な演技は、イマドキの女優では絶対に出来ない。根津甚八と恋仲になり、兄の宇崎竜童は猛反対する。しかし、2人は、一層燃え上がる。「私にもギラギラした思いでを作って」と迫るシーンは、あの当時の青春映画をはるかに凌駕しているだろう。工藤栄一監督は、「女性」の心理を描くのも巧みであることは、あまり知られていない。「その後の仁義なき戦い」が凄い所は、主人公たちがラスト堕落してく所にある。根津甚八は、シャブに狂っていく。原田美枝子は、ホステスになる。ある意味で、「仁義なき戦い」シリーズの中では、最も「アナーキー」な作品ではないだろうか。私が、「その後の仁義なき戦い」で衝撃を受けたのは、博多駅で組員たちが相手方の組長を襲撃するシーンの異常なまでの緊迫感。一貫して、「テロリズム」をテーマに映画を撮ってきた工藤栄一監督の本領が発揮されている。原田美枝子という女優は、歳と共に、見事に役柄とイメージを変えてきた、「流石、大女優だなぁ」と痛感させらる。