孤独死予備軍ひきこもり日記

ひきこもりが、日々の雑感を綴ります。

福田和子 「あぶない あぶない」「美容整形」をして「20以上の偽名を使う」逃亡生活を楽しむ 他に類を見ない不思議な犯罪者

福田和子という犯罪者がいた。大竹しのぶでテレビドラマ化されるほどに、犯罪者でありながら、強烈なインパクトを与え、人々の関心を集めた。福田和子は、1982年8月19日に愛媛県松山市で同僚のホステスを殺害して、遺体を山中に遺棄する。愛媛県警は、全国指名手配をする。福田和子は、20以上の偽名を使い、「貸しビルのオーナー」「パブの経営者」「エステの指導員」など別人になりすましながら、逃亡し続ける。石川県の和菓子屋の主人に気に入られて同棲するようになる。和菓子屋の主人は、正式に結婚を申し込むが、福田和子は、指名手配中であることがばれるのを恐れて断る。不審に感じた和菓子屋の主人の親族は、石川県警に通報する。さっそく、石川県警は、福田和子を逮捕するために、和菓子屋に向かうが、福田和子は、警察の捜査が自分に及んでいることに気づき、自転車で逃走する。動物的な勘は、凄い。その後、福井に逃亡して、おでん屋に出入りすることが、福田和子の命取りになる。おでん屋にやって来た福田和子は、女将に向かって、「ママは最近テレビでやっている人に私が似ていると思っているんじゃないの」と面と向かって言い放つ。驚いた女将は、「何でそんなこと言うのよ」と答えると、福田和子は、「私に似ているという人がいるのよ」と店にいた客の手を取って、「私、シリコン整形なんかしていないよね」と自らの鼻を触って見せたという。これが仇となって、福田和子は逮捕されて、逃亡生活にピリオドを打つことになる。時効成立まで、21日までだった。福田和子の逃亡生活については、多くの作家が綿密に取材して書いている。その中でも印象に残ったのは、佐木隆三氏の文章である。佐木隆三氏と言えば、裁判の傍聴を通して、「犯罪者が持つ人間性」に鋭く言及してきた作家だ。福田和子は、佐木隆三氏に対して、「センセ」と関西なまりで話し、「人たらし」であったと佐木隆三氏は、高評価している。福田和子は、2005年和歌山刑務所において55歳の若さで死亡している。犯罪者の中で福田和子ほどもてはやされる者がかつて存在しただろうか。