孤独死予備軍ひきこもり日記

ひきこもりが、日々の雑感を綴ります。

「豊川事件」 偶然に殺害された幼児の近くにいただけで 警察は「犯行ストーリ」を作り犯人をでっち上げた 「冤罪」は決して他人事ではないという典型的な事件

2002年7月8日の午後1時頃、愛知県豊川市内のゲームセンタ―の駐車場に止めてあった車の中にいた1歳10か月の幼児が誘拐されて、4時間後に遺体となって発見された所謂「豊川事件」。事件から、9か月後の2003年警察は、事件当日に同じゲームセンターにいたトラック運転手田邉雅樹さんを逮捕した。田邉雅樹さんは、一度は自白をしたが、国選弁護人が接見した後に、否認に転じる。2006年に名古屋地裁で、無罪判決が下されるが、検察が控訴したため、2007年に逆転有罪となり、2008年には最高裁で刑が確定して、現在田邉雅樹さんは、大分刑務所に収監されている。有罪となった「証拠構造」は、極めて杜撰なものである。「自白」のみで、田邉雅樹さんが、犯人であることに合理的な疑いがないという「事実認定」をしていると言っても過言ではない。何故、田邉雅樹さんは、犯人にでっち上げられるに至ったか。2002年7月28日に警察が、実施したナンバーチェックによって、田邉雅樹さんの自動車が、被害児がいたゲームセンターから少し離れたゲームセンターに北側の駐車場にあったため、田邉雅樹さんが疑わるようになった。田邉雅樹さんは妻との関係がぎくしゃくしていたので、事件前からゲームセンター駐車場で「車中泊」を繰り返していた。田邉雅樹さんの車内からは、被害児を乗せたとする、被害児の毛髪や衣類などの物的証拠は全く存在しなかった。また、被害児がいた車からも、田邉雅樹さんの指紋も発見されていない。つまり、「被害児を父親の車から連れ出して、田邉雅樹さんの車に乗せ換えて、海に投棄する」という「犯行ストーリ」は不可能に近いということになる。弁護団は、2016年に名古屋高等裁判に再審請求をした。弁護団は、33点の新証拠を提出し、自白には信用がないと主張した。主だった新証拠の1つ目として、「自白」の通りに、被害児を海に投棄すると、科学的な見地からでは絶対不可能であるという点。現場水域の特性、自然条件を踏まえると、漂流に影響するのは、潮汐流のみであった。潮汐流によって、被害児の漂流速度、漂流方向を計算すると「確定判決」が認定した午前1時40分頃に投棄したという自白が成立しなくなり、自白とは異なる場所で被害児を投棄した以外考えられないこと。また、自白が間違っていなかったとしても、投棄した時間が、午前3時より後である可能性が高いこと。つまり、科学的に検証した結果、「自白」は、虚偽である蓋然性が極めて高いことである。田邉雅樹さんは、警察が日頃利用するビジネスホテルで、取調べを受けて、自白させられたことは看過し難い。「自白」は証拠の王と呼ばれるが、警察は、目星をつけた人間を「犯人にでっち上げる」目的で、虚偽自白を作るという非人道的な捜査を平然と行っている証左である。「豊川事件」は、あまり知られていない冤罪事件である。しかし、偶然に、被害者の近くにいた人間が「犯人にでっちあげられた」という点で、他の冤罪事件とは特色が異なってくると、私は思う。つまり、「冤罪」は、決して他人事ではなく隣り合わせにあるということだ。あるということだ。一度、「冤罪」という警察権力の罠に陥ると、どれだけの忍苦に耐えなければならないか。そう意味で、一刻も田邉雅樹さんが「再審無罪」となることを望むばかりだ。