新聞を熟読する習慣があると、新刊本の広告をチェックする癖がある。特に朝日新聞は他紙よりもかなりの新刊本の広告を掲載する。朝日新聞はやはり影響力があり、そのため出版社としては是が非でも朝日新聞に広告を掲載したがるようである。新刊本ではないのに、常に朝日新聞に限らず大手新聞社の本の広告に掲載されているのが、一万年堂出版の一連の「歎異抄をひらく」や明橋大二の安っぽい子育て本である。かなりの紙面を割いて紹介されているので、知らず知らず人間というのは記憶に残るものである。つまりサブリミナル効果というものだ。一万年堂出版は高森顕徹が率いる親鸞会の息のかかった出版社である。「歎異抄をひらく」や「なぜ生きる」という耳障りの良いタイトルを聞くと、人生に悩んでいた時に、ふと読んでみようかと思う人間が数多く現れることは間違いないだろう。これも親鸞会の勧誘の手口のひとつではないだろうか。「親鸞会」は大学のキャンパスなどで宗教団体の名前を隠して、入学したばかりの新入生たちを勧誘すると言われている。藤倉善郎はずっと親鸞会はカルト宗教であると指摘してきた。エホバの証人や幸福の科学が問題視されているにもかかわらず、親鸞会は全く普通の宗教と見做されている。親鸞会が製作したアニメの声優役として石坂浩二が出演している。石坂浩二という善良そうなイメージの俳優がそうしたアニメの声優として出演すれば、社会的信用が高まるものである。また明橋大二という小児科医の安っぽい子育て本が数多く出版されて多くの子育て中の母親たちから支持されている。子育てに不安を持つ母親たちにとって、明橋大二の本は一見して救いになる感じがする。しかし良く読めば、耳障りの良い事を並び立てているだけであって、全く中身のない駄本に過ぎない。高森顕徹は浄土真宗の寺の子として生まれた。しかし本来の浄土真宗の教えを曲解していて、邪宗に過ぎない。日本の知識人は最後には親鸞に関心を持つようだ。吉本隆明もや五木寛之しかり。「親鸞会」の本の広告掲載する大手新聞社はカルトの宣伝をしている。その功罪はあまりにも大きい。