孤独死予備軍ひきこもり日記

ひきこもりが、日々の雑感を綴ります。

角川春樹 敗れざる者 麻薬取締法違反で逮捕され服役するも、再び起き上がってくる精神力は学ぶべき所多し

映画界の風雲児と呼ばれた、角川春樹の半生を描いた、「最後の角川春樹」という本が、出版されて、一部の人は、絶賛している。著者は、「映画の奈落」を書いた伊藤彰彦氏だけに、その筆力は確かである。全盛期には、「人間の照明」のスタッフを殴った松田優作に土下座させた武勇伝や、薬師丸ひろ子原田知世らスター女優の発掘では、「積極性に欠ける、むしろオーディションに向かない子を選んだ」などのエピソードが、綴られて、非常に面白い。角川春樹は、父親である角川源義が創業した、角川書店に入社して、1975年に父親が亡くなると社長に就任する。出版社と映画を組み合わせた、「メディアミックス」は角川商法によって、数々のヒット作を世に送り出し、一躍時の人となる。しかし、1993年5月に、コカイン密輸事件で、麻薬取締法違反、関税法違反で逮捕される。1994年に、1億円の保釈金で釈放されるが、刑が確定して、その後、2004年まで刑務所に服役する。何故、覚せい剤事件で、角川春樹は、10年以上も、囚われの身になったのだろうか。初犯で、反省の意を示しさせすれば、執行猶予の刑で済ませることができる。多くの芸能人、有名人は、実刑判決を回避するために、裁判において、反省の色を見せて、執行猶予の判決をもらうことに腐心する。高知東生などは、あろうことか、自らの経験を、薬物依存の恐ろしさを啓蒙する活動をしている。何と、芸能人として器が小さいことか。思うに、角川春樹が、長期にわたって、囚われの身になったのは、反省の色を見せるどころか、反抗的な態度を取り続けたからではないだろうか。インタビューなんかでも、自分が悪いことをしたという意識を片鱗も見せない。私は、そこに、角川春樹の何者をも恐れない、大胆不敵な精神を見てしまう。自らのことを、「ヤマトタケル武田信玄も生まれ変わり」などと言う。また、父や弟の人格を攻撃するなど、不適切な言動が目立つ人ではある。しかし、権力にひれ伏すことがなく、自分の信念を貫く所は、評価できると思う。刑務所で詠んだ、歌に、「敗れざる者 歳月に火をたけり」という歌がある。やはり、角川春樹恐るべし。