孤独死予備軍ひきこもり日記

ひきこもりが、日々の雑感を綴ります。

「騒音おばさん」 奈良騒音傷害事件 暴走してしまうには何らかの深い事情があった。一方的に「狂人」のごとく報道したメデイアの大罪

騒音を巡るトラブルは、絶えず発生して、刑事事件にまで発展するケースがある。その中でも、忘れ難い事件は、2005年に奈良県生駒郡平群町で起きた「奈良騒音傷害事件」である。隣人夫婦に対して、騒音を出し続けたとして、主婦が、奈良県警に傷害の容疑で逮捕された。ワイドショーは、連日にわたって、この逮捕された「騒音おばさん」が、わめきちらす映像を流し続けた。しかし、「騒音おばさん」は、家庭的な問題を抱えていた。若い頃に障害を持つ旦那さんと見合い結婚をさせられて、その後、3人の子供が産れたが、全員障害のある子どもに育った。また、「騒音おばさん」が、一方的に騒音を出し続けたように報道されたが、様々な噂が飛び交った。隣人夫婦が、創価学会員で勧誘を巡って、「騒音おばさん」とトラブルがあったということだ。騒音を巡るトラブルの厄介な所は、些細なすれ違いから生じ、人を異常な精神状態にまで追い詰めていくことにある。互いに許し合える寛容な社会では、「騒音トラブル」など絶対に起きない。しかし、他人に対して相互監視が作用する社会においては、必然的に起き得ることだと思う。たいてい、騒音を出し、加害者になってしまう人間は、孤独であったり、何らかの人生上のトラブルを抱えていたりする。この事件の「騒音おばさん」もおそらく、そうであったのではないだろうか。大阪高裁で、弁護側は、「音楽を鳴らす行為は、傷害には当たらない。」と無罪を主張した。一方、検察側は、「長期にわたって、警察などの警告を無視し、被害者に苦痛を与えており、1審の判決は、軽すぎる」と反論した。最終的に、1審の奈良地裁判決を破棄して、懲役1年8か月を言い渡した。あまりにも重い判決である。良心的な裁判官であれば、執行猶予を付いた有罪判決を言い渡すはずである。メデイア報道の影響を受けた「見せしめ」的な判決としか言いようがない。メデイアは、「騒音おばさん」を、まるで完全な狂人のごとく報道した。様々な事情を調べずに。こうした視聴者に予断と偏見を植え付けるメディアの報道は、非常に危険だと思う。