孤独死予備軍ひきこもり日記

ひきこもりが、日々の雑感を綴ります。

「鶴見事件」 お金は盗んだが、人は殺していない 無念の裡に「死刑囚」という汚名を着せられ死んでいった高橋和利さん 神奈川県警の捜査はあまりにも杜撰

 「鶴見事件」という冤罪の可能性が非常に高い事件がある。この事件については、誰もあまり関心を持っていない。ジャーナリストの片岡健さんのみが、丹念に調べておられる。昭和63年6月20日横浜市鶴見区の金融業兼不動産業者が妻と共に殺害されて、事務所内から現金1200万円が奪われた。7月1日に高橋和利さんが、神奈川県警に任意同行を求められ、以後「激しい取り調べ」を受ける。警察が、目を付けた理由は、高橋和利さんが営業する電気工事会社の経営が上手くいかず、高橋和利さんは、相当資金繰りに困っていた。そして何よりも高橋和利さんが疑われることになったのは、殺害された金融業者に「虚偽の融資話を持ち掛けていた」という点である。しかし、この融資話というものは、高橋和利さんが、金融業者を騙して、お金を巻き上げようと「計画性」のあるものではなかった。金融業者は、かねてから高橋和利さんに「融資相手」の紹介を求めていた。高橋和利さんは、金融業者から、お金を借りたことがあったため、断ることができずに、自分の電気店で働いている人間の名前を挙げて、「不動産を担保にお金を借りたい人がいる」という話をしていた。高橋和利さんは、やさしい人柄で、妻の弟の借金を融通したこともあった。「聖教新聞赤旗新聞」を同時に取っていたこともある。近所の人間に勧められると、断ることができない高橋和利さんの「やさしさ」を物語るエピソードである。「虚偽の融資話」の実態は、計画性のあるものではなかったということだ。高橋和利さんは、金融業者が殺害された現場に行き、1200万円を奪ったことは認めたが、殺害は一貫して否認した。横浜地裁は、1995年9月7日に高橋和利さんに死刑判決を言い渡した。東京高裁も、2002年10月30日に控訴を棄却して、最高裁は、2006年月28日に上告を棄却して、高橋和利さんの死刑が確定した。そもそも高橋和利さんが、「真犯人」でない「新証拠」が数多く存在する。まず、凶器とされた「バール」と「プラスドライバー」では、法医学上被害者の「成傷」が出来得ない点。おそらく、神奈川県警の警察官たちの「厳しい取り調べ」によって、高橋和利さんは、「虚偽の自白」をしてしまったのだろう。また、殺害された金融業者の周囲には、いわくつきの人間たちの存在が見え隠れしたことだ。中には暴力団員で、金融業者から多額の負債を抱えていた人間もいる。神奈川県警は、何故そういった人間たちを調べなかったのか。警察は、どうも「ある一人の人間」に狙いをつけて、「自白」を取れば良いという捜査の鉄則を持っているようだ。「見込み捜査」以外の何物でもない。高橋和利さんへの警察の「取り調べ」は、峻烈を極めるものだった。暴言のみならず、激しい暴行を伴った違法捜査であり、本来であれば「自白」の任用性を裁判所は、却下するべきものだ。高橋和利さんは、「死刑囚」という汚名を着せられて、無念の裡に昨年に獄中死した。現在は、妻の高橋京子さんが、第3次再審を求めている。「取り調べ」の全面可視化が導入されない限り、警察官たちによって「取り調べ室」という「密室」で「虚偽の自白」に追い込まれて、犯人にでっち上げられてしまう人間が、これからも無くならないと私は思う。