孤独死予備軍ひきこもり日記

ひきこもりが、日々の雑感を綴ります。

逆転人生 布川事件  桜井昌司さんを取り調べた茨城県警の警察官の名前は公表されるべき

先日、NHKの「逆転人生」に布川事件で、冤罪と闘い、雪冤を果たし桜井昌司さんが、出演された。冤罪事件が、メディアで取り上げられることがほとんどないので、期待して見たが、あまり完成度の高いものではなかった。再現ドラマの形式を取るためか、事件の概要を、おおまかに纏めたものになり、いまひとつ物足りない感じがした。もっと関係者に取材して、裁判の過程を検証するとともに、日本の刑事司法の病巣にまで肉迫する内容となるべきだと思う。個人のプライバシーの問題など、様々な制約が多いかもしれないけれど、冤罪の実態を知るうえで絶対に必要不可欠なことである。布川事件は、1967年茨城県利根町で、大工の老人が殺害された事件である。殺害された老人は、裏で金貸しをしていて、当初、警察は、「怨恨説」で捜査していた。しかし、目ぼしい者を探すことができず、捜査方針を変える。そこで、目をつけられたのは、桜井昌司さんと、杉山卓男さんだった。2人は、素行不良で、定職についていなかった。桜井昌司さんは、ズボンを盗んで窃盗、杉山卓男さんは、暴行罪で別件逮捕される。この際の警察の自白を引き出すやり口は、非常に卑劣なものである。桜井昌司さんは、犯行当日にお兄さんの家に泊まったと主張する。しかし、はっきりとした記憶に基づいていない。そこを警察官につけ込めれることになる。警察官は、「お兄さんは、犯行当日に、お前は、泊まっていない」と言っているという嘘をついて、桜井昌司さんの記憶を混乱させて、精神的に追い込み、自白させている。桜井昌司さんにとって、犯行当日は、さして変わらない日常であったために、はっきりと記憶していなかったのではないだろうか。杉山卓男さんは、「桜井昌司が、自白し、お前と一緒に、殺害した」と警察官から吹聴されて、自白してしまう。こうした、違法な取り調べは、憲法38条と刑事訴訟法319条で禁止されているにもかかわらず、まかり通っているのが現状である。共犯者のいる冤罪事件の大半が、仲があまり良くないというパターンが多い。また、犯行当日、被害者の家の前で、桜井昌司さんと杉山卓男さんを目撃したという証人が表れたことによって、2人の自白が補強され犯人に仕立て上げられる。この目撃証人の発言も、信用性の低いもので、事実ではないだろう。29年間刑務所に入り、1996年に仮釈放される。その後の2人に人生を追った、ドキュメンタリー「ショージとタカオ」井手洋子監督。社会に出て、戸惑いながらも、「フツーのおじさん」になろうと、もがき、苦しむ姿を見ると、桜井昌司さんと杉山卓男さんの無実は、何よりも明らか。桜井昌司さんは、直腸がんで余命宣告されているが、同じように冤罪に苦しむ人たちのために活動されておられる。番組の終盤、茨城県警のコメントをアナウンサーが、読んだ直後に、桜井昌司さんは、「腹が立つ」と怒りを露わにした。何の罪もない人を、犯人にでっちあげ、人生を翻弄させたのに、謝罪すらしない警察。こうした警察の無法が許される限り、冤罪は絶対に根絶しないだろう。