孤独死予備軍ひきこもり日記

ひきこもりが、日々の雑感を綴ります。

「布川事件」の桜井昌司さん 映画「オレの記念日」「不運だけど不幸ではない」 「薄汚い警察組織」に人生を翻弄されても、屈しなかったこそ言えるのだと思う

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「オレの記念日」というドキュメンタリー映画が現在公開されている。主人公は、布川事件で、冤罪という警察の人権侵害で人生の大半を失った桜井昌司さんだ。布川事件は、昭和42年に茨城県で大工の男性が殺害された事件である。当時、素行不良であった桜井昌司さんと杉山卓男が逮捕された。桜井昌司さんは、窃盗容疑、杉山卓男さんは、暴力行為等容疑という別件逮捕であった。別件逮捕は、警察が使う汚いやり口で、いまだに常套手段となっている。この事件は、警察が描いたストーリーに、乗せられて、若い2人が嵌られた典型的な冤罪である。桜井昌司さんは、被害者が殺害された日のアリバイを主張できずに、精神的に追いつめられて、虚偽の自白をしてしまう。当初、桜井昌司さんは、「事件当夜は、杉山卓男さんと、兄の家に泊まった」と主張した。しかし、取り調べを担当した警察官は、「お前の兄は、杉山も、弟も泊まっていない」と嘘を言い、桜井昌司さんの記憶を混乱させる。また、「犯行時間帯に、お前たち2人を見たという人がいる」と脅し、桜井昌司さんは、精神的に追いつめられた結果、嘘の自白をしてしまう。この警察官が使った捜査方法は、「切り違え尋問」であり、20歳を過ぎたばかりの青年は手のひらで躍らされたと言っても良いだろう。社会通念上、犯人でないからこそ、「犯行当夜の自分の行動」を詳細に記憶していないのではないだろうか。犯行とは、全く無縁に生活を送っていた桜井昌司さんにとって、被害者が殺害された日は、日常の一コマに過ぎなかった。だから、「アリバイ」を主張できないで当然なのである。桜井昌司さんが、自白したことによって、杉山卓男さんも、疑心暗鬼になり犯行を認めてしまう。そもそも2人は、仲が悪かった。後に、生涯を賭して、桜井昌司さんと杉山卓男さんは、雪冤を果たすための、「良き同志」になる。目撃者の証言も不自然な点が多かった。「2人を犯行現場で見た」という証言も著し変遷している。おそらく、警察官によって誘導された可能性が高い。また、この事件で許し難いのは、取り調べた「録音テープの改竄」があったことだ。1996年に桜井昌司さんと杉山卓男さんは、仮出所する。2人は、24年間刑務所生活で社会から隔離されていたのに、懸命に働き、結婚し家族まで持つ。再審請求を求めながらの、働くことには、計り知れない苦労があったに違いない。2人の想いはかない、2011年水戸地裁土浦支部で無罪判決が言い渡される。桜井昌司さん、昨年に、県と国に捜査の違法性問うた国家賠償請求訴訟でも勝訴した。桜井昌司さんは、「不運だけど、不幸ではない」と言う。21歳で逮捕されて、50歳まで刑務所生活を与儀なくされた。そして雪冤を果たすまで、25年の歳月を費やした。「冤罪」という警察の人権侵害に負けず、闘い続けてきた桜井昌司さんの言葉には重みがあり、私たちを勇気づける。そして、今も無辜であるにもかかわらず、犯罪者の汚名を着せられて苦しんでいる「冤罪被害者」たちの魂の叫びでもあるように思えてならない。