「布川事件」の元被告であった桜井昌司さんが亡くなった。
桜井昌司さんは、杉山卓男さんと「別件逮捕」されて、獄中29年の刑務所生活を送る。
その後、「仮釈放」されて、一生懸命に働き、結婚をして、雪冤を果たすべく、「再審請求」に人生を賭ける。
桜井昌司をモデルにした映画は3本ある。
その中で井出洋子監督が撮った「ショージとタカオ」が秀逸である。
「ショージとタカオ」は、「布川事件」の真相に焦点を当てるより、桜井昌司さんと杉山卓男さんが、刑務所から出て、悪戦苦闘しながらも真面目に生きる姿を追う。
桜井昌司さんと杉山卓男さんは、警察の酷い「取り調べ」で「自白」をしてしまう。
この「警察の取り調べ」は、桜井昌司さんに「アリバイ」がない事に付け込んだ、違法な捜査であった。
自らの犯行を認めれば、29年も服役せずに、もっと早く「仮出所」できた。
しかし、桜井昌司さんと杉山卓男さんは、「犯行を否認して」、獄中から「無実」を訴え続けた。
映画「ショージとタカオ」で桜井昌司と杉山卓男さんが、懸命に生きる姿を見ると、「どんな証拠」をよりも「無実」を物語っている。
2ヶ月前に桜井昌司さんの映画の上映会と講演会が開かれた。
その場で、私は、大変失礼な質問を桜井昌司にしてしまった。
桜井昌司さんは、真面目な人で、私の質問を誤解されたようだ。
癌で、近くに宿泊した「ホテル」から会場まで来るのが、精一杯というほど、桜井昌司は、やつれていた。
しかし、桜井昌司さんは、「警察組織」への怒りを露わにして、「日本の刑事司法の在り方」について語られた。
「警察組織」に「人生を蹂躙された」桜井昌司さんの人生。
改めて、冥福を祈ります。