孤独死予備軍ひきこもり日記

ひきこもりが、日々の雑感を綴ります。

映画「獄友」警察に人生を無茶苦茶にされたうえに刑務所に何十年も入った男たち それでも生きていく 生きていく

 

 

 

「獄友」という映画がある。監督は、金聖雄氏。この映画は、冤罪で何十年も刑務所暮らしを与儀なくされた男たちを描いた秀逸なドキュメンタリーである。布川事件の桜井昌司さんと杉山卓男さん。2人は、獄中29年。足利事件の菅谷利和さんは、獄中17年6か月。狭山事件石川一雄さんは、獄中21年7か月。袴田事件袴田巌さんは、獄中48年。彼らは、気の遠くなる歳月を国家権力に身柄を拘束されて、かけがえのない青春を奪われた。いずれの事件も冤罪である。冤罪の中には、白か黒か分からない謂わば「灰色の事件」と呼ばれるものがある。しかし、「獄友」の主人公たちが巻き込まれた事件は、完全な冤罪で、警察によってでっちあげられたことが明白な事件ばかりである。4つの事件のうち「無罪判決」を勝ち取ったのは、布川事件足利事件のみ。狭山事件袴田事件はいまだ解決していない。特に、「袴田事件」は、法曹関係者のみならず、素人でも、関連書籍を読めば、袴田巌さんは、完全なる無罪であることが分かる。またネット上で真犯人の名前すら出ているのに、裁判所は、袴田巌さんに無罪判決を下さない。2014年に静岡地方裁判所の再審請求審で、村山浩明裁判長は、警察の「証拠捏造」を指摘したが、検察が即時抗告したため、裁判が長引いている。おそらく、袴田巌さんが死ぬのを待っているのではないだろうか。警察が、「証拠を捏造した」ということは、司法の秩序を攪乱するもので、国家権力は絶対容認し難いことなのだろう。映画「獄友」は、個々の事件の真相には言及するより、冤罪被害者である彼らが、自らの過酷な生といかにして対峙してきたかを丹念に見つめていく。「不幸」であるにもかかわらず、底抜けに明るい。過酷な生を生き抜いてきたからこそ、そのような境地にまで達したのではないだろうか。特に桜井昌司さんは、青春のほとんどを刑務所で過ごした。50歳で仮出所して、15年以上もかかり、2011年に再審無罪を勝ち取る。そして昨年には、国家賠償請求でも勝訴した。桜井昌司さんは、仮出所後、真面目に働き、結婚までする。その生活そのものが、桜井昌司さんが無罪であることを証明しているのではないだろか。映画「獄友」は、わが国の刑事司法の病巣をえぐり出すと共に、極限状況を生き抜いてきた者を描いた人間ドラマでもある。