孤独死予備軍ひきこもり日記

ひきこもりが、日々の雑感を綴ります。

今村核弁護士 イノセンス 冤罪弁護士のモデルになった人 坂口健太郎と似ても似つかない しかし「痴漢冤罪」では車内の画像を何百回も見て分析 あるいは女子高生が「下着のゴムが緩んでいた」と証言すれば 同じ下着で痴漢ができたかを検証 刑事弁護に命を懸けて警察組織と闘った人

今村核という知る人ぞ知る凄腕の弁護士が1昨年の8月に亡くなられた。NHKで今村核氏の生き方を迫ったドキュメンタリーが放送されたり、それをもとにして新潮社から「雪ぐ人」と言う本が出版されるなどしているが一般的にはほとんど知られていない。59歳の死であった。また「イノセンス 冤罪弁護士」というドラマのモデルとなった。本人は主役の坂口健太郎と似ても似つかない恰好である。しかし、刑事弁護の世界では凄腕の弁護士として辣腕を振るった。冤罪と言えば、袴田事件のように何十年も争って、大弁護団が結成されてというイメージがある。しかし冤罪というのは私たちの日常の暮らしと隣合わせにあるものだ。例えば、朝夕の通勤ラッシュで「痴漢」に間違われて、駅の待合室に連れていかれる。そして警察官が駆け付けて現行犯逮捕。東京都の迷惑防止条例違反という罪名で逮捕されてしまう。たとえ、痴漢をしていなくても。痴漢冤罪が恐ろしいのは被害者の主張が100%正しいとされ自分は痴漢をやっていないと主張しても警察官はおろか裁判所も聞いてくれない。そのためやってもいない痴漢をやったことにして示談に持ち込むケースが非常に多い。弁護士の方も示談するように説得させる。大半の弁護士は警察と被害者と争いたくないからである。しかし今村核弁護士は敢えて「痴漢冤罪」を自ら引く受けて、無辜の人の救済のために奔走した。バスで起きた痴漢事件では、車内の画像を何百回も繰り返し見て、被告には痴漢をやっていないことを立証する。またある時は被害を訴えた女子高生が「下着のゴムが緩んでいた」と証言した。そうすると「同じゴムが緩んだ下着」を準備して、その条件で痴漢が出来たを検証して、無罪を勝ち取った。またあるすし店放火事件で警察官たちから酷い取り調べを受けて、「虚偽の自白」を認めてしまった被告人を救済するために、放火事件ができたを「ミニチュアのすし店」を自ら制作して、科学的に立証していく。凄まじいエネルギーである。今村核氏は麻布中学、高校、東京大学法学部卒。エリートであったが父との相克や自らの神経症が、冤罪という理不尽な境遇にある人を救いたいと思うようになったきかっけだと本人は言う。今村核氏は次のように言う、「逆に私は勾留された被告人の心情なんかは、他の弁護士よりもよく分かる。 自分が孤独だったからですよ」「だから、単に可哀想な人とかね、そんな風に思わない。やっぱり、自分の性格も誤解されやすくて、それによって苦しんだこともありましたし。孤独だった中学、高校とかが、被告人の孤独とも重なってくるんですよね」と。そして今村核氏はこの言葉を語りながら左目から一筋の涙が頬を伝わらせる。これほどの刑事弁護人はもう出てこないだろう。余りにも早すぎる死に改めて追悼の意を表します。