孤独死予備軍ひきこもり日記

ひきこもりが、日々の雑感を綴ります。

ゴミ屋敷で衰弱死した56歳のあるひきこもりの死 彼は市役所の支援を断って まだ働けると思って 中学1年生程度の英語の勉強をしていた 彼の人生について私たちは とやかく言う資格などないと思う

NHKで高齢のひきこもりを特集したドキュメンタリーが過去に放送されて反響を呼んだ。横須賀市に住む牧岡伸一さん56歳がゴミ屋敷で衰弱死して、弟が兄の人生を回顧するというものである。牧岡伸一さんは仮名であると思うが。牧岡伸一さんは大学受験に失敗して、就職したが上手くいかず、父親との関係もぎくしゃくし始め、ひきこもりになった。テレビで見る牧岡伸一さんの若き頃の顔を見て、私が思ったのは「目が澄んでいる」ということだ。おそらく、この汚い現実の世の中を生きていくにはあまりにも純粋過ぎたのではないだろうか。牧岡伸一さんの父親は日記を付けていた。その中で牧岡伸一さんのことを「わが子ながら、情けない」という記述が多いのである。おそらく、戦後の右肩上がりの日本社会を懸命に働いてきた牧岡伸一さんの父親とその子供世代では大いに価値観が違うので、到底わが子であっても理解できなかったとしても仕方がない事である。ただその父親も死の直前は、「息子である牧岡伸一さんに自分の価値観を押さえすぎた」と後悔の言葉を牧岡伸一さんの従弟に語っている。牧岡伸一が栄養失調で衰弱死する10日前に横須賀市役所の職員が訪ねていた。牧岡伸一さんはずっと行政の支援を断り続けた。そして、幼い頃から好きだった英語を使う仕事をしたいと望んで、英語の勉強をしていた。しかしその英語の勉強というのは、中学1年生程度のものであった。普通の感覚であれば、TOEICなどで何点取れるかを目標に英語の勉強をするのであるが、牧岡伸一さんは「現実」を理解し得なかった。テレビの中では、あまり言及されていなかったが、牧岡伸一さんは何らかの精神疾患に罹患していたのではないかと私は思う。56歳の牧岡伸一さんが中学1年生程度の勉強をしていたことを笑う者もいるだろう。しかしそれは絶対してはいけない事であると私は思う。また「どんなくだらない、情けない人生」を送った人間がいたとしても、その人間が純粋であるならば、生きた価値を認めてやるべきではないかと私は思えてならないのだ。