孤独死予備軍ひきこもり日記

ひきこもりが、日々の雑感を綴ります。

ひきこもり本

ひきこもりに関する本が、続々と出版されている。どれもこれもが、駄本で読むに耐えないものである。いまだ、斎藤環氏の「社会的ひきこもり」が、バイブルのように読まれ続けているのは、考えものである。ただこの本が、斬新だったのは、若者の無為、無関心によって家に閉じこもっていることが、病気ではないと明言したことである。通常の精神科臨床においては、青年期の心の問題を統合失調症という病気に収斂してしまうのが当たり前のことだった。統合失調症とうい診断をくだすことによって治療の方向性が、立てやすいからではないだろうか。ひきこもり本の傾向として、支援者向け、一般の人向け、当事者の経験を語ったものと大きく3つに分類される。一般の人に向けて書かれた本は、ひきこもりに対する偏見や差別を正そうとした類が多い。一見してひきこもりは、怠けではないと擁護しているように感じられる。しかし根底には、引きこもるという行為は、本来あってはならないという自己責任論が、見え隠れする。今、流行の80・50問題に便乗した本も、取って付けたような事例報告を羅列しただけである。どれもこれも、ひきこもり当事者たちの姿が、不在で、本質的なことを言及できていない。当事者の経験を語った本は、極めて少ない。その中では、上山和樹氏の「ひきこもりだった僕から」と勝山実氏の「安心ひきこもりライフ」、「ひきこもりカレンダー」が、個人的に名著だと思う。勝山実の考え方は、世間一般に到底受け入れ難いものだろう。しかし、どんなひきこもり本よりも説得力があり、何らかの示唆を与えてくれることは、間違いない。