孤独死予備軍ひきこもり日記

ひきこもりが、日々の雑感を綴ります。

ガード下酔いどれ人生

20年近く前、深夜のドキュメント「ガード下酔いどれ人生」を見た衝撃が、忘れられない。49歳の無職でアルコール依存症の息子と80歳の母、そしてこの親子の世話を焼く小林さんが、織りなす物語。息子は、子供の頃にいじめに遭い、職場も転々とするが、何もかも上手く適応できず、家にこもり酒浸りの生活をおくる。おそらく、著しく人とコミュニケーションを取ることができないのだろう。しかし、画面から人柄の良さが、にじみ出てくる。生きていくには、あまりにも繊細で優しすぎるのではないだろうか。80歳の母も、口では、息子に厳しい言葉を投げつけるが、突き放すことができない。職に就こうとするが、挫折し、親よりも先に死んでいく結末はあまりにも悲しすぎる。この番組が制作された当時、ひきこもりは、社会問題となっていなかった。しかし、今見ても何らかの示唆を与えてくれるように思えてならない。youtueでのコメントで、この親子を罵るような言葉を散見すると、社会の不寛容さを感じざるを得ない。情けなくて、駄目な人間が存在してもいいじゃないかと言いたい。社会から脱落しても、そのようにしか生きれなかったことを受容してやっても良いのではないのか。このドキュメンを見たとき私は、まだ大学生で、まさか、ひきこもりになってしまうなど夢にも思わなかった。それが、今では正真正銘のひきこもりである。この主人公は、私の父と全く同じ歳である。ひきこもりが、クローズアップされる前から日本のどこかでこのような親子が、ひっそりと生きていたのではないだろうか。ただ、いたずらにひきこもりを特別視する必要性はないと思う。