長崎県警の女性警部が、交際中の報道機関に勤務する男性に捜査情報を漏洩し書類送検された。しかもこの警部は、男性と不倫の関係にある。さして驚くべき事件ではない。新聞社と警察組織の蜜月ぶりは、今に始まったことではない。記者クラブ制度に庇護された、新聞記者は、警察の番犬である。このように表沙汰にされるケースは、氷山の一角ではないだろうか。末端の警察官を処罰しただけで、メディアと警察組織の関係が、改善されるはずがない。それほど警察権力が、絶大なものになっていることに私たち国民が、認識するべきである。本来、新聞記者と警察は、緊張関係を持つのが、理想であるが、今どきの新聞記者は、正しいジャーナリズム精神を忘れているように思えてならない。新聞社あるいはテレビ局に入社すると、警察への取材が、記者になるための教育の一貫とされているのが、そもそもの間違いのような気がする。「夜討ち朝駆け」という言葉が、象徴するように、警察幹部から話を聞き出して一人前の記者になるとでも考えているのか。だとしたら時代錯誤も甚だしい。かつての優秀な新聞記者は、日頃、警察官と友好的であっても、いざとなれば不正は許さない、正義感を持ち合わせていた。今どきの若手記者には、そういった気風が、欠けている。日頃から警察官と付き合っているうちに、仲間意識が、芽生えてしまうのではないだろうか。新聞社の上層部も警察寄りの思考回路を持った記者を育成する方が、都合が良い。リベラルという報道機関も、警察不祥事に対しては、知らない振りを決め込む。これでは、警察組織が、何をやっても許される社会になってしまう。こういった事態だけは、何とか阻止せねばいけないだろう。
