孤独死予備軍ひきこもり日記

ひきこもりが、日々の雑感を綴ります。

栃木リンチ殺人事件、栃木県警の罪と罰

1999年に栃木県で発生した栃木リンチ殺人事件。元警視庁の巡査部長で、ジャーナリストの黒木昭雄さんの、著書「栃木リンチ殺人事件 警察はなぜ動かなかったのか」は、この事件の真相に迫った、労作である。黒木昭雄氏は、元警察官でありながら、一貫して、「警察批判」を続けてこられた方だが、残念なことに2010年に自殺されている。他殺説が流布されているが、月刊「創」の編集長である篠田博之氏は、「自殺説」を展開している。私も「自殺」ではないかと思う。黒木昭雄氏の著作を読んでいると行間から、正義感が滲みでてくる。そうした、潔癖な性格ゆえに激しい警察批判を続けたのではないだろうか。栃木リンチ殺人事件は、1999年に須藤正和さんが、少年らに壮絶なリンチを加えられた上に、殺害された。自分達の遊ぶ金欲しさに、須藤正和さんから金を巻き上げ、まるで、おもちゃのように扱った末に、殺害した。日産自動車栃木工場に就職してから、半年が過ぎる頃に事件は起きる。両親の元に、上司から、須藤正和さんが無断欠勤を続けているという電話があった。この時点で、少年らに須藤正和さんは拉致されていた。子供の身を心配した、両親は、不審に思い、石橋署を訪れるが、担当した警察官は、まともに取り上げようとしない。黒木昭雄氏の本の中では、「でも、今回は息子がカネを借りてるんでしょ。悪いのはあなたの息子で、借りたカネをホカの仲間に分け与えて、おもしろおかしく遊んでいるんじゃないの?警察は、ちゃんと事件になんないと動かないの」と記されている。この事件での警察の失態は、これだけでは済まされない。警察よりも、須藤正和さんの行方を知っていたのは、日産総務部であった。日産総務部には、警察ОBの就職先であり、警察と蜜月な関係で、日産社内での社員の不祥事を警察に依頼してもみ消すことが日常茶飯事に行われていた。須藤正和さんと、少年のひとりが、日産の社員であったことから、事件性になるのを恐れて先手を打ったわけである。そして、この事件で、何よりも許せないのは、主犯格の少年の父親が現職の栃木県警の警察官であったことだ。栃木県警が、須藤正和さんを見殺しにしたといっても良いだろう。2000年に宇都宮地方裁判所で、少年のうち2人は、無期懲役。1人は、懲役5年から10年の判決が下された。また、須藤正和さんの両親が、栃木県と加害者、その両親に1億5000万円を求めた民事裁判で、東京高等裁判所は、2007年に、「栃木県警の怠慢がなくても被害者を救出できた可能性はあると」判断し、賠償額を1100万円に減額した。須藤正和さんの家族は、上告したが、この東京高等裁判所の判決が確定した。どういった感覚の裁判官なのか、神経を疑う。「栃木県警の怠慢がなくても、救出できた」などと言い放ち、どこまで警察をかばおうとするのだろうか。当時、テレビで見た田舎の朴訥な感じの須藤正和さんの御両親が印象的である。警察のみならず裁判所が、殺された須藤正和さんと御両親にした仕打ちは、絶対許されない。