孤独死予備軍ひきこもり日記

ひきこもりが、日々の雑感を綴ります。

西鉄バスジャック事件 「キレる17歳」「ネオむぎ茶」など面白く報道されただけ 被害者なのに少年を赦した山口由美子さん

5月のゴールデンウィークで思い出した事件があった。2000年5月3日に発生した西鉄バスジャック事件である。佐賀発福岡行きの西鉄バスが、牛刀を持った少年に乗っ取られた。少年は、女性3人に切りつけて、1人が死亡し、2人がけがをした。広島県で警察が、車内に突入して、少年を逮捕した。この事件、少年が、いじめで不登校で、前日に精神科病院に入院させるか相談していたことが話題となった。また、少年が、2ちゃんねるのハンドルネームが「ネオ麦茶」であったことや、同じように、大人しい少年が、突然に凶悪な犯罪を犯す事件が相次いだので、「切れる17歳」という言葉が先行した。あれから、20年近く経過したが、大人しい少年が、突然に世間を震撼させる事件を起こす構図は全く変わっていない。最近では、東京大学の入試現場で事件を起こした、エリート高校生がその最たるものである。思春期の不安定な時期に、少年が犯罪を犯すということは、昔から少なからずあった。ただ、犯行の態様が時代によって変化してきただけである。しかし、メディアは、少年の家庭環境を興味本位に取り上げて報道するだけで、事件の本質について触れようとしない。西鉄バスジャック事件で被害者の一人である、山口由美子さんは、少年を恨むことなく、向き合おうとした。事件から4年後、医療少年送致とする保護処分となった少年と再会する。そして、2006年に少年が、少年院を退院した。山口由美子さんのもとに、少年から手紙が届き、自分が何故事件を起こしたか丁寧につづられていたという。山口由美子さんが、少年を赦すようになったのは、不登校の娘がいたから、いじめられて、不登校になっていた少年の行き場のない気持ちが理解できたという。もし、少年の話をじっくりと聞き、共感していれば、少年は事件を起こさなかったと、山口由美子さんは考えている。2022年4月から改正少年法が施行されて、厳罰化と報道において実名が可能になった。罪を重くして、実名をさらすだけでは、犯罪は減少しないだろう。山口由美子さんのように、大人が罪を犯した少年と真摯に向き合わない限り、少年犯罪に対して何の効果をなさないと思う。