孤独死予備軍ひきこもり日記

ひきこもりが、日々の雑感を綴ります。

「月ヵ瀬村女子中学生殺人事件」 被告の丘崎誠人の哀しき人生 「在日朝鮮人」と村落で差別を受けた 刑務所で自殺をする 卑劣な犯行であったが「社会に問いかけたもの」があったと思う

1997年に奈良県の月ヵ瀬村で、女子中学生が殺害された。所謂「月ヵ瀬村女子中学生殺人事件」という。この事件を覚えている人は、もうほとんどいないと思う。「殺人事件」が、次々と起きて、ワイドショーの「センセーショナルな報道」を消費するがごとくして、人々は忘れ去っていく。しかし、この「月ヵ瀬村女子中学生殺人事件」は、月並み事件と違って、容疑者である丘崎誠人の辿った人生があまりにも哀しきものであった。丘崎誠人は、メディアの前では、「極悪な人間」を演じ、取材者たちを威嚇し、暴言を吐くような言動を取った。しかし、丘崎誠人は、「無期懲役」が確定した後に、大分刑務所で自殺をして、自らの人生の幕を閉じた。「月ヵ瀬村女子中学生殺人事件」について書かれた本があるが、「新潮45の殺人事件を際物に描くシリーズもの」だけである。「新潮45」の一連のノンフィクションは、罪を犯した人間を最初から偏見と差別の視点でしか捉えておらず、「安っぽい読み物」でしかなかった。罪を犯す人間にも、「止むにやまれぬ事情」があると私は考えている。丘崎誠人は、在日朝鮮人として「月ヵ瀬村」という旧態依然とした閉鎖的な村落で非常に厳しい「差別」を受けたいた。丘崎誠人の犯行は、女子中学生を乱暴するつもりで、声をかけたが、無視をされたので殺害に至ったというものであった。誰しも、「極めて短絡的で、身勝手な犯行」と言うだろう。しかし、丘崎誠人の犯行の裏には、やはり「差別された人間の行き場のない怒りや絶望」があったように私は思えてならないのだ。丘崎誠人は、奈良の「月ヵ瀬村」から雄琴の「風俗街」に車で遊びに行くことを唯一の楽しみにしていたという。雄琴とは、滋賀県にある有名な「風俗店」が蝟集する街である。誰からも、相手にされず、風俗店に車で何時間もかけて、「一時の快楽を味わう」ことだけが心の安らぎであったのだとすると、寂しい男だったのだろう。丘崎誠人は、細い体で虚勢を張って、メディアの人間の取材に答えていた。その映像が私には忘れることができない。「差別され、人間を信じられない男」の横顔がそこにはあった。