孤独死予備軍ひきこもり日記

ひきこもりが、日々の雑感を綴ります。

瀬古利彦さん 34歳で10年もの闘病の末に亡くなった息子の昴さんへの想い ともすれば「著名人」は「息子の死」をありのままに語らないが 深い愛情が感じられる

瀬古利彦さんの息子さんの瀬古昴さんは、2021年に34歳の若さで亡くなった。昴さんは、2012年に悪性リンパ腫の一種であるホジキンリンパ腫を発症して、入退院を繰り返しながら闘病した。「がんマラソントップランナー」という本を出版している。瀬古俊彦さんが、息子の昴さんの事を語る番組を私は、NHKラジオ深夜便」で聞いた。瀬古利彦さんの語り口が、ユーモアに溢れていて、驚かされた。ともすれば、若くして息子を亡くなった親というものは、深刻に語るものである。時には著名人が「自分の子供の死」を語る場合は、ありのままの真実を封印することもある。柳田邦男という作家がいる。日本を代表するノンフィクション作家である。柳田邦男の息子は、長年こころの病を患っていて、最後は自ら命を絶つ。その事を描いた本が、「犠牲 わが息子・脳死の11日」という本である。菊池寛賞を受賞するなど、この本は、あらゆる面において影響を与えた。「ひきこもり」を抱えている親御さんたちが、この柳田邦男の本を読んで、「自分のひきこもりの子供」を投影して、共感を得ることが非常に多い。柳田邦男の息子は、「ひきこもり」ではないが、「こころの病」を長年抱えていた。その息子にどのようにして接していけば良いのかという柳田邦男の「苦悩」が、この本のなかには描かれているように見える。しかし、表面的なものに終始して、「親と子」の泥沼は、一切描かれていない。柳田邦男は、そうした「事実」を歪曲して、息子の「こころの病い」を完全に「美化」しているのだ。この本を貶した作家がいる。大月隆寛と言うが、一時期「売れっ子」であり、鋭い論評をした。柳田邦男は、後に、妻と離婚して、新しい女と結婚することになる。この事実だけを持っても、「犠牲 わが息子・脳死の11日」という本は、嘘くさいものであるかを物語っている。瀬古利彦さんは、亡くなった息子である昴さんから、「お父さんは、頭が筋肉だから」と言われた。瀬古利彦さんは、「お父さんの足は、脳みそだから」と言い返したそうである。瀬古利彦さんの息子の死を語る口調は、非常に明るく、ユーモアに溢れているが、「深い愛情」があって真実味がある。そのことが逆に、20代の前半の難病に罹患して、34年という短い人生を送らなければならなかった昴さんの無念を感じざるを得ない。